水道料金の改定(値上げ)と料金体系から見る節約術
最近私の住んでいる地域で、水道料金の値上げが行われました。
生活インフラを維持する為の値上げとは言え、家計にとってはとても重要な問題です。
この記事は、
・水道料金の値上げが必要な理由
・今後の水道料金の展望
・料金体系を知って、どう節約につなげるか。
この辺りを中心に私の住んでいる地域を例に取り、解説していきたいと思います。
それでは、いってみましょう。
水道料金の値上げが必要な理由とこれから
水道料金の値上げ
私の住んでいる地域では、令和3年1月1日より水道料金の値上げが行われました。
何と値上げ幅は脅威の約25%UP!!!
びっくりですよね?一応前々からHPや水道局からチラシが来て、値上げするぞ~心構えしておくんだぞ~と告知的な物はありました。
値上げの理由としては、
・高度経済成長期に整備した水道設備の老朽化が年々増加していく事
古くなった施設・設備の更新と耐震化への対応
・過去20年も料金改定を行ってこなかった事
経営の効率化・健全化に努めてきたが、現行料金では対応が難しくなった
将来的な展望を見据えると更新の為の費用が不足する
・人口減少、節水機器の充実による収入減
人口1人当りの給水利益が減少している
人口減少により今後、給水収益の減少が見込まれる
・・・分かるけど、今まで何してた?怠慢経営じゃないの?と思うのが正直な所。
水道が難しいのは、「高くなったから別の所にしよう!」という選択肢が無い所です。
水道事業は官業ですので、当然ですよね。
それならば税金で補填を・・・と安易に出来ないのが水道事業が厄介なところ。
何故なら管轄は地方自治体ですが、【地方公営企業】という枠組みで経営されている為です。
この【地方公営企業】とは
細かな特例は沢山あるみたいですが、基本的に【独立採算制】なんです。
各世帯から徴収した水道料金が収入であり、人件費・設備投資、更新費はこれで賄わなくてはいけない事になっています。
詳しく知りたい方は下記リンクをご覧ください。
で回らなくなってどうしようも無く値上げ、というのが今回の事の顛末。
それならばと、
一気に値上げせず、段階を踏んで上げれば反発も少なそうなのに・・・と考えた方。
それは今回の値上げはスタートダッシュに過ぎず、段階を踏んでの値上げはこれからしっかり行われると思われます。
私の地域ではに必要な設備の改修を行い、料金は変わらずで事業を続けていくと、令和2年~令和6年の4年間で約100億円の収入不足が見込まれています。
全国的に見る水道事業の展望
水道料金の値上げは一部の自治体だけの話ではありません。
全国的に見ても、
・人口減少や節水設備の充実による収入減
・給水原価(水道水 1 ㎥当たりの製造単価)が供給単価(水道水 1 ㎥当たりの販売単価)を上回る、いわゆる原価割れを起こしている事業者が半数
・将来的な設備更新等に係る費用を料金収入で賄えないと思われる事業者が半数
・上記の様な状態にも係らず、値上げを敢行している事業者が数%しかいない
などネガティブ要素が満点です。
このような現状を受け、国の方針や提言等でも下記の様な文言が出てきます。
・水道事業者に3〜5年ごとに水道料金の検証と見直しを求める方針
出典 厚生労働省 厚生科学審議会(水道事業の維持・向上に関する専門委員会)第6回資料
・2040 年までに水道料金の値上げが必要と推計される事業体は、全体の約 90%
・全国平均値では 36%の料金値上げが必要
出典 新日本有限責任監査法人・水の安全保障戦略機構事務局「人口減少時代の水道料金はどうなるのか(改定版)」2018年3月
これを見ると、今後も値上げは間違いなし、しかもそれが継続的に起こりうると受け取ってしまいます。
加えて、私自身が建設業界に身を置いていて思うのは、
近年の原材料・人件費の高騰を受け、見積ベースでの金額も着実に上がってきています。
予測を上回る金額が今後必要となり、上記の想定を超えて値上げが行われるのではと危惧してしまいます。
このような状況になって来るとちょこちょこ聞こえてくる【民営化】の声。
個人的には生活インフラは官営で頑張って欲しいと思いますが、今後の動向に注目です。
個々の家庭で見ると、支出の増大は間違いなさそうですので、現状どうやって節約していくかを次章より考えていきます。
水道料金の仕組み
節約に前に少しだけ水道料金のお話です。
水道料金は「基本料金」+「従量料金」と
下水道料金にて計算されています。
地域ごとに料金設定に差が有ります。今回は例として東京都の料金体系を例に見ていきます。
「基本料金」(水道)
各家庭に引かれている給水管の口径によって決まります。
一般的な戸建てを想定すると20口径が多く、少し古い建物だと13口径が該当する場合もあります。大きい所でも25口径には納まっていると思います。
・13口径 860円/1か月
・20口径 1,170円/1か月 共に1~5㎥まで
・25口径 1,460円/1か月
「従量料金」(水道)13・20・25口径共通
基本使用料ををオーバーした分は1㎥ごとに料金がかかります。
・6 ~10㎥ 22円/1㎥あたり
・11~20㎥ 128円/1㎥あたり
・21~30㎥ 163円/1㎥あたり
「下水道料金」
下水道の使用量は水道の使用量をイコールとして算出されます。
こちらは口径は関係無く、一律の料金となります。
・0~8㎥ 560円/1か月
・9~20㎥ 110円/1㎥あたり
・21~30㎥ 140円/1㎥あたり
これらの合計に消費税10%をかけた物が水道料金として請求されます。
具体的な節約例
出典 東京都水道局「平成27年度一般家庭水使用目的別実態調査」
まずは家庭で使われている水の割合を見てみましょう。
平均的な全体量としては、世帯4人構成を想定すると、1か月あたりの使用量は25.1㎥とされています。東京都水道局平成30年度生活用水実態調査より
40%を占めているのがお風呂、ついでトイレ、炊事、洗濯の順番になっています。
各項目ごとにどんな節約ができるのか見ていきましょう。
お風呂での節約
戸建てで多い、一坪タイプの浴室について考えてみましょう。
このタイプの場合、浴槽は約290Lほどになります。満タンに溜める人はいないと思いますので8割程度で考えてみると、
290*0.8=232Lとなります。一月に換算すると 232*30=6960L
この湯量からどう節約出来るかを考えると、
湯量を減らす・お湯を連日で使う・シャワーで済ます日を作る。など意図的に使用量を減らす方法がメインとなります。
私は出来れば毎日新しいお湯に浸かりたいので、湯量を減らす事を考えてみます。
1割の節約をすると仮定すると、湯量設定で、1か2メモリ下げるのが当てはまります。浴槽の感じとしては2~4cm程の減少です。
どうでしょうか?それくらいの下がり幅だと、そんなに気にならないと思いませんか?
数字的な節約量としては232Lの1割が30日分 232*0.1*30=696L
㎥換算すると約0.7㎥の節約となります。
その他にもシャワーヘッドを節水タイプに変えるなどもあります。
少し脱線ですが、最近CMで見かける油性マジックが落ちるシャワーヘッド・・・気になりますね!
トイレでの節約
トイレでの節約はお金のかかる方法と、意識的に行う節約の2種類があります。
お金のかかる方法としては、トイレ自体を節水タイプに変えてしまうことです。
でもこれは設備投資もかかりますし、すぐに出来るわけでもなく、中々ハードルが高いと思います。
意識的に行う節約としては、
使用するトイレットペーパーの量に気を付ける。
↓
流す水の、大と小をしっかりと使い分ける。
(気にせずにいつも大で流していませんか?)
一般的なトイレの大は一回約8L
それに対して小は一回約6Lとなります。
大小の使い分けを意識する事、トイレットペーパーの適切使用で大の回数を減らすことで1割減を目指してみましょう。
ここでは全体量からの逆算で考えてみます。
全体量25.1㎥の21%は5.271㎥ さらにその1割と考えると約0.5㎥の節約となります。
大と小の差は約2L、0.5㎥=500Lなので 500÷2=250回を大ではなく小への置き換えが必要となります。
4人家族が1ヶ月間の間で達成すると考えると、250÷30÷4=2.08 約2回ですね。
一人あたりが1日のうち2回程、大→小とする事で達成出来る計算となります。
炊事・洗濯での節約
これはどちらも節水機能に優れた商品を使うことを想定します。
炊事に関しては、食器を洗う時が最も水を使うと思いますが、溜め洗いも勿論ですが、食洗機の使用が節約に繋がります。
例えばPanasonicのNP-TZ100では、手洗いの1/6の水量で洗うことが出来るなど節水に優れた商品があります。
5人家族想定で手洗いの場合使う水の量は75Lと紹介されていますが、今回のモデルは4人家族なので60L・・・少し多すぎる気がするのでさらに減らして50Lにて考えてみます。
上記の食洗機に使う水量は11L程、差は39L、これを1日2回行うと考えると・・・
39*30*2=2340L ㎥換算で約2.35㎥の節約となります。(かなり大きいですね!)
洗濯に関してですが、これは各家庭で様々な種類の洗濯機を使用しているので、一概に何かの指標を出すのが難しい為、数字的な節約からは今回は省略します。
考えられる、節約としては、まとめ洗いを行い回数自体を少なくする事などが該当します。
料金体系から見る節約術
前章で、実際にどれくらいの節約が可能かを見てきましたが、
これらを合計してみましょう。
0.7+0.5+2.35=3.55㎥の節水となりました。
この記事の中でも出てきましたが、4人世帯の水道の平均使用量は25.1㎥
ここから先程の節水量を引くと21.55㎥となります。
この水道量を東京都の水道料金に当てはめてみましょう。
25.1㎥の場合(20口径想定)
基本料金1170円
+
6 ~10㎥ 22円*5=110円
+
11~20㎥ 128円*10=1280円
+
21~30㎥ 163円*5.1≒831円
+
0~8㎥(下水) 560円
9~20㎥(下水) 110円*20=2200円
21~30㎥(下水) 140円*5.1=714円
合計
6865円となります。
それに対して、
21.55㎥の場合(20口径想定)
基本料金1170円
+
6 ~10㎥ 22円*5=110円
+
11~20㎥ 128円*10=1280円
+
21~30㎥ 163円*1.55≒253円
+
0~8㎥(下水) 560円
9~20㎥(下水) 110円*20=2200円
21~30㎥(下水) 140円*1.55=217円
合計
5790円となります。
1月で1078円、1年で考えると10780円の節約です。
節約金額が1万円を越えるとかなり大きな気がしますよね!!
ここからもう一歩踏み出す為に、料金体系を見ましょう。
現在21.55㎥ですが、料金体系が切り替わる20㎥まで、後1.55㎥だけです。
折角ならその範囲内まで節約したくなりませんか?
料金の切り替わりだけでなく、切りの良い数字でも良いと思います。
闇雲に節約を行うことは効率的ではありません。
ゴールをキチンと設定して、それに対して邁進するというやり方が効率的な節約方法となります。
「料金体系を使って、目標を明確にすること」
これが水道料金における節約のベストアンサーだと思います。
これからどんどん上がっていくであろう水道料金、
皆さんも少しずつでも節約を考えてみると、家計の一助となるはずです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
それでは、sikatariでした。
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